*--毎日の生活の中で「賢い脳をつくる方法」No,2--*


賢い脳をつくる方法  (2005/09/06 update)
効果的な復習で記憶力をアップ  (2005/09/07 update)
睡眠は脳細胞の修復時間  (2005/09/08 update)
記憶力アップトレーニングするには  (2005/09/09 update)
考えながら話せば脳が活性化する  (2005/09/10 update)
アナンダマイドで至福感アップ  (2005/09/11 update)
健康な肌をつくる食生活  (2005/09/05 update)
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賢い脳をつくる方法
 何もしなければ年齢とともに機能が低下していく脳ですが、高齢者でも訓練することで高い活動を示します。才能は若い頃だけのものではなく、努力すれば高齢者になっても脳細胞は増え、能力もアップします。大切なのは、ダメと諦めないことです。好きなことや興味のあることを学び続け、楽しみながら脳を鍛えれば心も元気になります。生き生きとした脳でいつも若々しい毎日を過ごしたいものです。


■ 訓練すれば高齢者でも能力アップします

 平均寿命が年々延びていく中、80歳代でもステージに立つジャズボーカルや現役の大学生など、生き生きと人生を楽しんでいる人たちがいます。彼らの能力は、特別に優れているのでしょうか?

 人間の能力のピークは50歳代といわれていますが、能力はその種類によって年齢とともに異なる変化を見せます。科学の研究者や工業系技術者などの日頃から特別な環境下の人を除いた一般的な人である場合、情報を素早く理解する能力(知覚の処理速度)は、20歳代から低下しますが、言語能力は80歳代でも向上します。また、地図や場所を理解する空間処理能力は、60歳代でも20歳代とほぼ同じレベルを保ちます。

 では、訓練した脳とそうでない脳ではどのように違うのでしょう。

 記憶しようとする人と脳の活動を機能的MRIで調べた結果(参考資料:Hedden, T and Babrieli, D.E. Nature Neuroscience 5;87,2004)によれば、若者と訓練をしていない高齢者では、主として左の前頭葉が活動しますが、訓練をしている高齢者では、左右の前頭葉が活動し、その活動は若者以上でした。

 脳の活動のすべてについて、訓練すれば脳は高い機能を維持できるのです。年齢を言い訳にせず、生き生きとした人生を目指しましょう。


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効果的な復習で記憶力をアップ
 効果的に記憶力をアップするには、どうすればいいでしょう。

 事故で過去の体験による記憶を失った男性が、言葉を覚える訓練をしていく治療を行う過程で、時間とともに記憶がどのように失われていくかが解明され、記憶力を高める方法が見つかりました。

 記憶量は5〜7分後にピークを迎えますが、復習をしないで放っておくと、24時間後には最高時の1/4程度まで下がってしまいます。さらに、1ヶ月後にはほとんど何も覚えていない状態に至ります。ところが、10分後に復習すると、最初の記憶量が2時間ほど保たれ、さらに1週間ぐらいは高いまま維持されます。そこで、また、1週間後に復習をすると、1ヶ月後まで記憶は維持され、1ヶ月後に復習すると6ヶ月はこの記憶量が維持されることがわかったのです。

 何かを覚えたいと思ったら、一度に必死に覚えることよりも、10分、2時間、1週間…の法則を忘れず、効果的に復習を行うと記憶力が高まります。

 ちなみに、学習方法では、学習した後、十分な睡眠をとり、再度学習すると、学習能力が高まることがわかっています。


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睡眠は脳細胞の修復時間
 先述したように、学習した後、十分な睡眠をとり、再度学習すると、学習能力が高まることがわかっています。これに加えて、覚えた記憶を定着させたければ、質の良い睡眠も欠かせません。

 訓練をした後、一方はそのまま、もう一方は間に6〜8時間の睡眠をとり、12時間後にテストすると、睡眠をとったほうが記憶の定着がよいということが研究者の実験によって確認されています(Fenn, K.M. et all. Nature 425;614,2003)。また、数字の少ない順に並べる方法の為の記憶や、言葉のような記憶だけでなく、ピアノを弾くというような記憶も、眠りによって技術が維持向上することが確認されています。

 眠りには、大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠の二種類があり、ノンレム睡眠の時には体も脳も急速中で、障害を受けた脳細胞が修復されます。一方、レム睡眠の時には脳は激しく活動して情報を整理するため、酸化の障害を受けます。ところが、感情を安定させる神経などは完全に休息中で、レム睡眠は感情を支配する細胞を修復する時間といえます。また、レム睡眠の時には、海馬の記憶関連遺伝子が発現され、記憶に関係するタンパク質が多くつくられることもわかっています。

 このように、睡眠は、脳の情報を整理していらないものを捨て。必要なものを維持する機能を持っているのです。眠ると少し悩みが薄れるというのもここにあり、睡眠は記憶そのものをよくするということのほかに、記憶を邪魔する悩みの軽減もするのです。


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記憶力アップトレーニングするには
 記憶力には瞬間で変化する情報を理解する短期記憶と、その記憶を保持する長期記憶があります。短期記憶の情報は、目や耳などの各器官から脳の前頭前野と頭頂葉に入ります。これが海馬に送られ脳弓を通って、視床下部から大脳皮質に入り、長期記憶としてたくわえられます。

 意味の内数字や公式などの記憶は忘れるのが早いものです。漠然と覚えたことは、脳もどのファイルに入れたらよいのかわからず、記憶に残りません。つまり、ものごとを覚えるためには、そのためのファイルづくりが必要なのです(原理はサーバー構築やパソコンの環境を構築するのと同じです)。そのファイルを意識的に整理するのが記憶術です。

 記憶術で記憶力を高めることは、脳全体を刺激し、脳細胞を増やします。楽しみながら記憶力をアップする訓練をするとよいでしょう。


■ 結合法で単語を覚える

 まず、次の15個の言葉を覚えてみましょう。一つ一つの言葉を覚えるのはなかなか大変です。そこで、結合法(連想法)では、2つの言葉を組み合わせて覚えます。この記憶術では最初に浮かんだ連想を使うことが大切です。慣れると200ぐらいはさほど困難に感じなくなるでしょう。これを読んだ時点で気がつかれた人もいるかもしれませんが、この結合法は、痴呆や認知症のリハビリや心理学関連の授業や研究などで使用されている方法です。記憶力の名人などは、結合法を効率的に行って覚えているようです。

### 下の言葉を覚えてみましょう ###

ココカラ
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バラ、医師、自転車、山、キノコ、万年筆、食道、ヘリコプター、ゴキブリ、雲、イチゴ、ロケット、ミツバチ、納豆、ワイシャツ
=====================================
ココマデ

 上記のものを次のような結合法で記憶します。

ココカラ
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「バラが医師の胸にさしてある。」→「医師は自転車に乗っている」→「自転車は山道を登る」→「山にはキノコが生えている」→「キノコから万年筆が飛び出した」→「万年筆は食道にいっぱい並んでいる」→「食道にヘリコプターがぶつかった」→「ヘリコプターはゴキブリだった」→「ゴキブリは雲の上を飛ぶ」→「雲からイチゴが振ってきた」→「イチゴにロケットが突き刺さった」→「ロケットはミツバチと恋に落ちる」→「ミツバチは納豆が好きだ」→「納豆をワイシャツの上に着る」
=====================================
ココマデ


■ 語呂合わせの数字記憶法

 8694という数字をそのまま覚えるよりも、読みでハロクシとしたほうが、意味がわからなくても覚えやすいものです。語呂合わせは、さらにイメージがプラスされるので、長期記憶を鍛えます。

 では、語呂合せで数字を覚える訓練をしましょう。なるべく奇想天外な発想で、最初に浮かんだイメージを大切にしましょう。

### 数字の読みで、4区ずつ区切り、語呂合せを作ってみましょう ###

ココカラ
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6358378724881450
=====================================
ココマデ

 一例として次のようなものがあげられます。

ココカラ
=====================================
「6358=むみごは」「3787=みなはな」「2488=ふしはは」「1450=いしごと」

        ↓

 ム(ー)ミ(ンの)ごは(んは)、み(ん)な花。ふし(ぎな)パパ(は)い(い)仕事。
=====================================
ココマデ


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考えながら話せば脳が活性化する
 97%の人は、言語中枢が左脳にあるます。前頭葉には『ブローカの言語中枢』があり、ここに障害を受けると、人の話は理解できても、自分の考えを話すことが出来なくなります。側頭葉には『ウェルニッケ言語中枢』があり、損傷すると他人の声は聞えても、何を言っているのかわからなくなります。また、『角回(カクカイ)』という部分が侵されると、声を出して字を読むことが出来なくなります。

 私たちが言葉を話す時、ただ口に出すだけの場合は、口の部位の運動野と体性感覚野とブローカの言語中枢が活性化されるだけです。ところが、考えながら話すと、ウェルニッケの中枢、角回も同時に刺激され、さらに言語の作業記憶(思い出す作業)を司る前頭前野までが活性化されます。

 前頭前野には、幸福感や前向きの感情を生む場所があります。言語を考えながら話すこと、つまり、コミュニケーションは、左脳を広く刺激し、活性化させるので記憶力アップに繋がり、鬱な気分を晴らす明るい脳をつくるのです。


 年齢と共に脳細胞が死滅していくことは確かですが、その速度があまり急速にならないように、訓練で脳を刺激することが、若々しい毎日のためには大切です。

 また、間接的ではありますが、ストレス負荷から、脳細胞が死滅しやすい環境下になるために、結果的に脳細胞が急速に死滅しやすくなることもあります。

 脳は日々変わることを忘れずに、もうダメだと思う前に、《賢い脳づくり》をスタートしましょう。


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アナンダマイドで至福感アップ
 今、注目されている『アナンダマイド』という物質をご存知でしょうか。

 アナンダマイドは1992年にイスラエルで発見された物質で、アナンダとはサンスクリット言語でこれを訳すと《至福》の意味となります。近年の研究から、脳に作用している幸福感や楽しい気分をもたらす働きがわかっています。

 このアナンダマイドは、実は、脳のリン脂質内に17%含まれているARA(アラキドン酸)からつくられる物資です。ARAは食品では卵や肉・レバーなどに含まれる脂肪酸です。つまり、これらに含まれる食品を含む脂肪酸、ARAは至福感をもたらす作用を導き出す物質だったのです。

 しかし、高齢者の脳ではARAが少なく、60歳代からぐんと急に減り始め、70歳からは急激に減少します(参考:M. Soderberg et al. Lipids 26, 421/1991)。中高年ではさっぱりとした食事が多くなりがちですが、脳の栄養となる肉類や糖質、脂肪もバランス良く摂取することが大切です。体の健康とともに、元気な脳と心を目標にしましょう。


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