*--注目の健康成分「ポリフェノールの働き」--*


注目の健康成分「ポリフェノールの働き」  (2005/08/24 update)
「活性酵素」とは  (2005/08/25 update)
ポリフェノールの「抗酸化作用」  (2005/08/26 update)
動脈硬化のメカニズム  (2005/08/27 update)
ポリフェノールが動脈硬化を防ぐ!?  (2005/08/28 update)
ポリフェノールで健康生活  (2005/08/29 update)
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注目の健康成分「ポリフェノールの働き」
 体に良いといわれる健康成分ポリフェノールについて、さまざまな情報が氾濫しています。ポリフェノールとは何か、その働きや種類、含まれる食品などについて、正しい情報をこれより示していきます。

 野菜に多く含まれるポリフェノールは単独の物質ではなく、植物の葉や花、茎などに含まれる何種類もの物質の総称です。カテキンなど何千種類もあり、強い抗酸化作用などから健康成分として注目されています。毎日の食生活にポリフェノール含有率の高い野菜や飲料などを上手に取り入れ、若々しい毎日を過ごしましょう。


■ 野菜に含まれるポリフェノールとは?

 植物は、太陽エネルギーを利用して光合成を行い、生きていくために必要な栄養素をつくっています。ポリフェノールとは主に、光合成の過程で糖分の一部が変化した物質であり、自然界にはカテキン、アントシアニンなど何千種類ものポリフェノールが存在します。

 植物の体内では複数のポリフェノールが花びらや葉、果実、茎、樹皮などに分布し、必要に応じて活躍しています。その役割には、色素成分としてさまざまな色彩の花や実をつくることをはじめ、昆虫などの外敵により分泌された有害成分を無毒化することなどがあります。

 また、光合成の過程や紫外線により生じる活性酸素から植物が自らの生命を守るためにも、ポリフェノールは働いています。

 ブドウ(赤ワイン)やカカオ、お茶などに含まれるポリフェノールが有名ですが、実際には、植物の色素や苦味・渋味成分(アクなど)のほとんどがポリフェノールです。植物の光のあたる部分(葉や果実)に多く含有されるため、近年さまざまな野菜に含まれるポリフェノールが注目されています。


### 主な食品の苦味・渋味成分と色素成分 ###

≪抗酸化物質≫

《ポリフェノール》

【苦味成分】
茶類(カテキン)・コーヒー(クロロゲン酸)・赤ワイン(タンニン)

【色素成分】
「クリーム〜黄色」・・・柑橘類(ケンフェロール)キク科(ルテオリン)・アシタバ(カルコン)
「赤・赤・青色」・・・・ブドウ・ベリー類(アントシアニン)・ナス(アントシアニン)
「白色」・・・・・・・・タマネギ(ケルセチン)・大豆(イソフラボン)

《カロテノイド》

【色素成分】
「橙色」・・・・・・・・ニンジン(β‐カロチン)
「赤色」・・・・・・・・トマト(リコペン)
「サーモンピンク」・・・サケ・カニ(アスタキサンチン)


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「活性酵素」とは
 人間が生きていくために必要な酸素も、多すぎると体を酸化し、錆びさせる恐れがあります。また、吸いこまれた酸素の2〜3%は酸化力の強い「活性酸素」に変わって細胞膜などを傷つけ、病気や老化の元凶となってきていることが、近年、明らかになってきました。

 しかし、最近、老化の有力な原因の一つとされてきた「活性酸素」が、実は老化に関与していなかったことがわかり、細胞内小器官「ミトコンドリア」にあるDNAの損傷蓄積が老化の一因となるメカニズムが解明されました。組み換えマウスから正常マウスに比べ、DNA損傷が加速的に蓄積し、脱毛や白髪化、背骨の湾曲などの老化症状が見られ、老年性難聴の発症も確認され、ミトコンドリアDNAの損傷蓄積により、アポトーシスと呼ばれる細胞死が増え、老化が進行することも分かり、一方、ミトコンドリアの活性酸素は、両マウスで差はなく、活性酸素や酸化ストレスの増加は、老化に関与していないことが分かりました。

 体にはもともと、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と呼ばれる抗酸化酵素のように、活性酸素の害から身を守る防衛システムが備わっています。ところが、SODは20歳代をピークに衰えていってしまいます。

 さらに、紫外線、排気ガス、タバコ、ストレスなど、活性酸素が発生しやすい現代の環境では、自らの防衛システムだけでは活性酸素に十分に対応できないといえると専門家は考えています。

 活性酸素に対する防衛システムを強化するには、抗酸化物質を食事から摂取する必要があります。中でも近年、その働きが注目されているのがポリフェノールなのです。


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ポリフェノールの「抗酸化作用」
 1990年代になり、植物自身が生きるための生態防御物質であるポリフェノールが、人間の体内でも活性酸素の害から体を守る「抗酸化作用」があることが明らかになってきました。

 ポリフェノールを化学的に定義すれば、2つ以上の水産基、つまり《OHの手》を複数持っている物資です。この《OHの手》が非常に酸化されやすいため、ポリフェノールは活性酸素を除去する強い抗酸化作用を有し、その働きで動脈効果などを予防するのです。


### フレンチ・パラドックスの謎 ###

 欧米諸国での動脈硬化性疾患(心臓病など)での死亡率が脂肪摂取量に比例して増加していますが、フランスだけが例外でした。肉や動物性脂肪の摂取量が他国より多いのに、死亡率は他の欧米諸国に比べ、非常に少ないという統計があります(参考資料:「Lancet 1992:338:1523-6」)。この現象は、《フレンチ・パラドックス(フランスの矛盾)》といわれ、長い間謎とされてきました。

 しかし、国立健康・栄養研究所(近藤和雄医学博士ら)とサントリーの共同研究結果、この謎を解く鍵がフランス人の「ワイン好き」にあることがわかりました。つまり、赤ワインに豊富なポリフェノール(アントシアニン、フラボノイドなど)の抗酸化作用が動脈効果を予防することが確認されたからです。


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動脈硬化のメカニズム
 コレステロールには悪玉(LDL)と善玉(HDL)があります。以前は、血中にLDLが増えると血管がつまり、動脈硬化が起こると考えられていました。しかし、現在では、悪玉はLDLそのものではなく、LDLが酸化した「変性LDL」であり、これが動脈硬化の原因であると考えられています。

 体内でLDLが増えすぎると、血液中や血管壁に滞留します。余分なLDLは活性酸素などの襲撃を受ける機会が多くなり、酸化されて本当の悪玉といえる「変性LDL」に変化してしまうのです。

 変性LDLは、体内のシステムにとっては役に立たないゴミにあたります。これを排除するシステムとして、血管内の掃除人マクロファージ(大食細胞)に食べられてしまいます。ところがマクロファージが食べることができる用量(マイクロファジーが持つゴミ袋)にも限界があるため、変性LDLを食べすぎたマイクロファージは泡沫化し、脂肪を多く含む泡沫細胞になります。

 この泡沫細胞が血管内の内皮細胞の下に溜まると、動脈硬化のもとになるのです。次第に動脈壁が圧迫されて血管の内側はどんどん狭くなり、その結果、血流が妨げられ、動脈硬化が発展していきます。


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ポリフェノールが動脈硬化を防ぐ!?
 ポリフェノールなどの抗酸化物質の重要な働きは、LDLが活性酸素に酸化されて本当の悪玉「変性LDL」に変わる前に自らが身代わりになって酸化され、LDLの酸化を防ぐことです。

 動脈硬化を防ぐためには、このような抗酸化物質の働きにより、LDLを本当の悪玉「変性LDL」にさせないことが何よりも重要といえるであろうと専門家は考えています。

 また、抗酸化物質は、水に溶けやすいビタミンCなどの水溶性のものと、脂肪に馴染みやすいビタミンCやβ‐カロチンなどの脂溶性タイプのものに分類されますが、ポリフェノールはその両方の性質を持っています。

 LDLを構造的に見ると、中心部分はコレステロールや中性脂肪などの脂肪に馴染む成分、表層にはアポタンパク質やリン脂質などの水に馴染む成分で構成されています。したがって、抗酸化物質がLDLの酸化を防ぐ場合。水溶性ならばLDLの周りで、脂溶性ならばLDLの内部でなど、両方の性質の抗酸化物質であればさまざまな場所からLDLの酸化を防ぐことができます。

 水溶性と脂溶性2つのタイプの抗酸化物質は、互いに協力し合うことでLDLの酸化を防いでいるためどちらが欠けても抗酸化の防衛システムはうまく働きません。つまり、体内では脂溶性と水溶性の2つの抗酸化物質が、トータルな働きで動脈硬化や活性酸素の害から体を守っていると考えられています。


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ポリフェノールで健康生活
 ポリフェノールは、黄色や赤色などの色の濃い野菜や渋味・苦味のある食品に豊富に存在しています。ただし、茶類に含まれるカテキンや大豆のイソフラボンなど無色のポリフェノールもあるので、さまざまな色の野菜を摂取することが大切です。また、苦味・渋味成分が豊富な春の山菜や旬の野菜にもポリフェノールが豊富に存在します。

 その他、抗酸化作用のある成分には、ニンジンに含まれるβ‐カロテンやトマトのリコペン、サケやカニなどのアスタキサンチンをはじめとするカロテノイド系色素に属するものも多くあります。


### 注目のポリフェノール ###

【ゴマリグナン】・・・ゴマ
肝機能保護、老化防止など。

【フラボノイド】・・・野菜や果物、豆類、穀類、ブドウ、ココア
クリーム〜黄色の色素成分、強い抗酸化作用。

【カルコン(フラボノイド系)】・・・アシタバ
アシタバ特有のフラボノイド、血行促進。

【イソフラボン(フラボノイド系)】・・・大豆、大豆製品など
女性ホルモン様作用、更年期・骨粗鬆症予防。

【アントシアニン(フラボノイド系)】・・・ブドウ、ナス、赤キャベツ、ブルーベリーなど
赤〜紫色の色素成分、目の健康維持

【カテキン類(フラボノイド系)】・・・茶類、ココアなど
抗菌作用、抗がん作用。

【ルチン(フラボノイド系)】・・・ソバ、エンジュ
ケルセチンの配糖体、高血圧予防。

【ケルセチン(フラボノイド系)】・・・タマネギ・レタス・ブロッコリー、リンゴ果皮など
高血圧の予防、血行促進。

【ギンコライド(フラボノイド系)】・・・イチョウ葉
老化予防、脳の健康維持。

【ウーロン茶・ポリフェノール】・・・ウーロン茶
カテキンの重合体、脂肪分解作用。

【フラバンジェノール】・・・松樹皮
カテキンが2〜3個縮合したOPC(オリゴメリック・プロアントシアニジン)が主成分血行促進。


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