*--全身の健康づくり「丈夫な骨対策」--*


あなたの骨は大丈夫?  (2005/08/18 update)
「支え、守り、貯める」骨の3つの役割  (2005/08/19 update)
骨は日々夜つくり替えられる  (2005/08/20 update)
寝たきりに繋がる骨粗鬆症  (2005/08/21 update)
骨を鍛える8つの生活習慣  (2005/08/22 update)
骨太計画は毎日の食生活から  (2005/08/23 update)
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あなたの骨は大丈夫?
 昔に比べ、現代人における生活が便利で楽になり、骨を鍛える機会が減少しています。加えて、カルシウム不足などの食生活で骨が弱くなり、ちょっとした衝撃で骨折する骨粗相症の人も増えています。骨は肉体を形成する骨ぐみとなるだけに、丈夫な骨づくりは全身の健康づくりに繋がります。カルシウムの豊富な食事や適度な運動で骨を鍛え、寝たきりにならない豊かな人生を送りたいものです。


■ あなたの骨は健康ですか?

 健康やスタイルを気にする人でも、普段から骨を意識している人は少ないようです。目に見えない大切な骨は、気付かない間にもどんどん弱くなっているかもしれません。

 最初にSOSのサインを出すのは骨の中でも弱くなりやすい背骨や腰骨です。背中が痛む、丸くなるなどの変化に気付いたら、要注意です。出きるだけ早く危険信号を知るために、まず、あなたの骨の健康度を確認してみましょう。


■ 骨の健康度をチェックしよう!

 以下のものの中から該当する項目点数を加算し、合計点数を算出してください。

・身長が低くなった(6点)

・背中が丸くなったり、腰が曲がったりしてきた(6点)

・軽く転んだだけなのに骨折した(10点)

・細身である(2点)

・血縁関係者に骨粗相症の人がいる(2点)

・胃や腸の手術を受けたことがある。(2点)

・閉経を迎えた(4点)

・月経が不順である(2点)

・牛乳や乳製品があまり好きでない(2点)

・小魚や豆腐はあまり食べない(2点)

・たばこを1日20本以上吸う(1点)

・お酒をよく飲む(1点)

・外出するのは好きでない(2点)

・運動や体を動かすのが苦手である(4点)


### 診断結果 ###

【0〜3の人】・・・・レベル0
安全です。

【3〜6の人】・・・・レベル1
骨の状態からすれば、今のライフスタイルでは少し問題があるようです。今できるところから骨対策を実行しましょう。

【7〜9の人】・・・・レベル2
このままの生活習慣では、やがて骨が弱くなり、簡単に骨折する危険性も出てきます。年齢相応の骨の状態になるよう、生活を改善する必要があります。

【10点以上の人】・・・レベル3
すでに骨が弱くなっているかもしれません。生活全般を見直し、骨密度測定などの検査を受け、状態に合わせた早急な対策をおすすめします。


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「支え、守り、貯める」骨の3つの役割
 私たちの骨格は206個プラスα(個人差)の骨で形成されています。骨はその硬い性質を利用して重い体を支えて体型を維持し、脳や大切な臓器を保護しています。

 さらに、重要な骨の役割は、カルシウムの貯蔵です。体にある約60兆個の細胞がきちんと働くために重要なカルシウムは、骨の成長や働きの鍵を握るだけでなく、人間の生命維持にも欠かせない栄養素となっています。

 人体の99%のカルシウムは骨に、残りの1%は血液や臓器に含まれますが、骨は余分なカルシウムを貯蔵して体液中の濃度を一定に保ち、いざというときのために備えます。

 カルシウムはまず細胞を出入りし、細胞を通して、血管内の血管の血液中の濃度を一定に保つことができる物質ですが、余分なカルシウムは骨に貯蔵されます。したがって、骨は生命維持に大切なカルシウムを貯めておく銀行のようなものであり、カルシウムが余分である場合に貯金し、いざという時には骨を削ってカルシウムを引き出します。

 支え、守り、貯める……という役割を担うため、足の太い骨などは、健康体である場合、体重の約4倍もの力が加わらなければ折れないほどの強靭さをもちます。とはいえ、この骨の強さは加齢とともに次第に衰えていきます。


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骨は日々夜つくり替えられる
 骨の主な材料はカルシウム、リン酸、そしてコラーゲンです。骨を鉄筋コンクリートに例えると、硬さの元になる砂利やセメントにあたるのがカルシウムやリン酸などのミネラルとなります。また、地震や台風などの災害による力の抵抗からのショックを吸収している、車のショックアブゾーバー(ダンパー)にあたるのが、コラーゲンという強靭なタンパク質で、繊維として骨を強くしています。

 鉄筋コンクリートや車のショックアブゾーバーとの違いは、生物が生物でないかの違いで、生物でない物が物体として作られたままであるのに対し、生物の産物である場合、セントラルドグマなどが発生するということです。骨である場合、日夜骨がつくり替えられているということになります。

 骨はその表面や内側にある骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞の働きで、破壊と形成による「骨代謝」を繰り返しているのです。

 骨が古くなったり、血液中のカルシウムが減少すると、破骨細胞は骨を削ってカルシウムを引き出し、強靭なコラーゲンをも切断します。この骨の破壊を「骨吸収」といいます。 

 次に多くの骨芽細胞が動員され、削られた部分にカルシウムを塗り固めていきます。これを「骨形成」といい、骨芽細胞は血液中にカルシウムが多くなったり、運動で骨に圧力が加わるとより懸命に働くようになります。骨芽細胞としての仕事を引退し、骨内部に眠っているのが骨細胞です。ときどき目覚めては骨代謝をコントロールしています。このあたりは人間の生涯の振るまいにも似ているので、理解しやすいかと思います。

 骨代謝を行う3つの細胞の働きは、まず、「壊す」役目の骨芽細胞が古くなった骨をどんどん削り、カルシウムを血液中に溶かしていきます。「つくる」役目の骨芽細胞は、穴が開くほど骨が削られると働き始め、新しい骨を作って穴を埋めます。「眠っている」骨細胞は、骨芽細胞の仕事をした隠居の身でありますが、ときどき目を醒ましては骨代謝をコントロールし、破骨細胞に仕事が引き継がれ、この3つの細胞の仕事は生命がある限り骨代謝の仕事をぐるぐると回していくのです。

 年齢とともに、骨吸収と骨形成のバランスが崩れたり、各細胞の働きが衰えると骨代謝が低下します。このことが加齢による骨量の現象に繋がっています。また、カルシウム不足や運動不足が続くと、骨形成より骨吸収が進み、骨はどんどん弱くなっていくことになるのです。

 この骨代謝が活発になると人体においては良いことなのか?――といえば、実は良いこととは限りません。それは、免疫力の働きと同じように、バランスが崩れてしまえば、肉体維持を崩壊させてしまうほどの悪い方向へ働いてしまうこともあるのです。


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寝たきりに繋がる骨粗鬆症
 丈夫な骨というと、太い骨を想像しがちですが、骨の強い弱いは見た目上の太さではなく、骨の中の密度がどれぐらいであるのかが問題となります。骨内部にスポンジのように細かい穴がたくさんあき、密度が非常に低い、スカスカな状態を「骨粗鬆症」とよんでいます。

 骨粗鬆症は加齢とともに増加しますが、女性の方が圧倒的に多くなっています。これは、女性ホルモンの減少と並行して、骨内部のカルシウムの質量も降下して行くためです。その他、ホルモン分泌が大きく変化する出産や授乳期、閉経期も骨の健康には要注意となっています。この時期は特に、食事や運動に気をつけて、骨内部のカルシウムの質量が一気に減少しないようにする必要があります。

 骨粗鬆症で恐いのは、ちょっとした衝撃で骨折しやすくなることです。

 高齢者が寝たきりになる主な原因の1つは骨折です(参考資料:「平成12年度 東京都社会福祉基礎調査」東京都福祉局)。将来、寝たきり生活にならないためにも、毎日の生活の中で骨を鍛え、骨粗鬆症を予防していく必要があります。


■ 骨粗鬆症

 骨粗鬆症とは骨密度が減少し、徐々に骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。

 骨はカルシウムやリンなどのミネラルを含み、これらの成分が骨を硬く密にしています。骨密度を維持するためには、カルシウムやその他のミネラルを適切な量摂取することが不可欠です。同時に、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン、カルシトニン、エストロゲン、テストステロンなどの数種類のホルモンが体内で必要な量つくられていることが必要です。食物からカルシウムを吸収して骨に取りこむためにはビタミンDも必要となります。ビタミンDは食事から吸収されるほか、太陽光を浴びると皮膚内でも合成されます。

 骨にかかる負荷は時とともに変化します。そうした変化に対応していくために、骨の内部では古くなった骨を壊して、新しい骨を生成する骨の再構築(リモデリング)が常に行われています。このプロセスでは、骨組織の小さな領域が吸収され、新たに形成された骨組織で置き換えられます。このプロセスが骨の各所で繰り返し行われ、健康な骨を維持しているのです。リモデリングが適切に行われているかどうかは、骨の形状や骨密度に影響を与えます。若いうちは体の成長に伴って骨の幅が広がり、軸方向へも伸長します。成長期を過ぎてからは骨の幅や厚みが増すことはありますが、伸長を続けることはありません。

 成人の若年層では骨吸収よりも骨形成が活発に行われるため、30歳ごろまでは骨密度が増加します。その後、骨吸収が骨形成を上回って行われるようになると、骨密度は徐々に減少していきます。体内で十分な骨形成が行われなくなると、骨密度は減り続け、骨が次第にもろくなり、ついには骨粗鬆症になります。

 米国では、約800万人の女性と約200万人の男性が骨粗鬆症になっているとみられています。骨粗鬆症には2つのタイプがあります。第1のタイプは原発性(一次性)骨粗鬆症で、特に原因となる病気がなく、骨の形成や吸収にかかわる機能の異常によって起こります。第2のタイプは続発性(二次性)骨粗鬆症です。これは原因となる別の病気があるために起こるもので、骨粗鬆症全体の5%未満がこのタイプとされています。続発性骨粗鬆症の原因となる病気には、慢性腎不全や内分泌疾患(クッシング症候群、副甲状腺機能亢進、甲状腺機能亢進、性腺機能低下、糖尿病など)があります。また、続発性骨粗鬆症を起こす薬剤には、コルチコステロイド薬、バルビツール酸、抗けいれん薬などがあります。アルコールの過剰摂取や喫煙も骨粗しょう症を悪化させますが、それが原因になるわけではありません。

 原発性骨粗鬆症はさらに、(1)閉経後骨粗鬆症、(2)老人性骨粗鬆症、(3)特発性骨粗鬆症という3つの病型に分けられます。高齢の女性にみられる骨粗鬆症には、閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症の2つの要素が混在しています。

 閉経後骨粗鬆症は、加齢に伴うカルシウムやビタミンDの欠乏や、骨吸収と骨形成のバランスが崩れることによって起こるとみられています。老人性骨粗鬆症とは高齢者に発症するものを指します。通常は70歳以上の人に発症し、女性の方が男性の2倍多く発症していると言われています。高齢の女性の中には、老人性骨粗鬆症と閉経後骨粗鬆症の両方の要素がみられる人もいます。

 特発性骨粗鬆症はまれなタイプです。特発性とは原因不明という意味です。小児期や青年期に発症し、体内のホルモンやビタミンの量は正常で明かな原因がないにもかかわらず、骨が弱くなります。

 骨密度の低下は非常にゆっくりと進みます。このため骨粗鬆症の初期には症状がなく、病気が進んでも自覚症状がまったく現れないこともあります。骨密度が少なくなって、骨の変形や骨折が起こると、突然の強い痛み、または徐々に起こるうずくような骨の痛み、体の変形などが現れます。腕や脚などの長骨では、骨の中央部よりもむしろ骨端(骨の付け根)部分が骨折します。脊柱(椎骨)では、背中の中ほどから腰にかけて骨折が起こりやすくなります。特に脊椎は、骨粗鬆症による骨折を起こしやすい部位です。

 椎骨の粉砕骨折(脊椎圧迫骨折)は、骨粗しょう症のどのタイプの人にも起こります。このような骨折を骨粗鬆症性骨折といいます。もろくなった椎骨は自然に、またはちょっとしたけがで骨折します。慢性の背中の痛みは、このような骨折が原因で起こります。痛みは突然に起こり、背中の一定の部分に集中して、立ったり歩いたりするとひどくなります。その部位に圧痛がみられることもあります。この痛みや圧痛は、数週間から数カ月後には徐々に治まってきます。いくつかの椎骨が骨折を起こすと、異常な脊椎の弯曲(老人性円背)を来し、強い変形に加え、筋肉の緊張やそれに伴う痛みも起こります。

 これ以外の部位でも、軽い負荷や転倒によって骨折しやすくなります。中でも股関節の骨折は特に重大で、高齢者に身体的な障害をもたらし、自立した生活ができなくなる主要な原因となっています(骨折: 股関節の骨折を参照)。手首の骨折はコーレス骨折(骨折: 腕の骨折を参照)と呼ばれ、特に閉経後骨粗鬆症の人に多くみられます。骨粗鬆症の人では、骨折の治癒に時間がかかります。

(参考文献:「メルクマニュアル医学百科 最新家庭版」総監修:京都大学医学部附属病院教授 福島雅典)


 このほかにも骨の病気は骨代謝異常によって骨の一部が肥厚と軟化を起こす慢性疾患である「骨パジェット病」などがあります。


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骨を鍛える8つの生活習慣
 骨粗鬆症の兆候が見えてからでも、諦めることはありません。

 50歳からでも遅くはありません。閉経を迎え、今後の骨量の減少が気になる50歳以降、若い頃からカルシウムを骨に貯金しておくのがベストですが、中高年になってからでも遅くはありません。日頃の心がけ次第で、50歳からでも骨量減少を遅らせることができるとされています。

 骨を強くするには食事、運動、適度な日光浴が3大原則ですが、骨に良い生活習慣は、全身の健康づくりにも通じます。これまでの生活習慣を振りかえり、次の8項目を実行して骨太を目指しましょう。


【1】家事で運動量を増やす

 フィットネス・ジムに通う代わりに家事で運動量を増やしましょう。掃除、洗濯など、忙しく動いているとかなりの運動量になります。コツは動きを大きくすることです。動く前と後には柔軟体操をし、入浴剤入りのお風呂で癒せば疲れ知らず。家だけでなく気持ちがキレイになる上、経済的で、骨も強くなる「一石四鳥」の方法です。


【2】和風の暮らしを見直す

 一番大切なことは、常日頃から背筋を正しくすることによって、腹筋と背筋を鍛えることです。正しい姿勢は背伸びした状態のまま、形を崩さずゆっくりとすわり、ゆっくりと立ちあがった形がよい姿勢(きれいな姿勢)となります。ベッドやソファー座るなど、洋式の生活は楽ですが、その分、骨にはマイナスです。また、脊髄が曲がってしまうような柔らかいマットも禁物です。畳生活なら、布団の上げ下ろしや、座ってから立ちあがる動作が増え、足腰の訓練になります。草履も足の裏と指を鍛えます。


【3】楽せずせっせと歩く

 面倒だ。歩くのはきついなどと言っていては、ますます体も骨も弱くなるばかり。体を動かし、体を鍛え、新陳代謝をよくするために、できるだけ足を使い、少しでも多くあることを目標にしましょう。


【4】タバコは百害あって一利なし

 タバコは女性ホルモンの分泌を悪くし、胃腸でのカルシウム吸収を妨げます。過度の飲酒も要注意です。


【5】色白美人より骨太美人

 外には女性には気になる紫外線。家に閉じこもってばかりでは、色白を保てても骨細スカスカに。木陰で過ごすだけでも、骨形成を助けるビタミンDが活性化されます。紫外線対策を忘れずに外出しましょう。


【6】ストレス貯めずカルシウム貯金

 ストレスで体が緊張状態になると、代謝や胃の調子が低下し、カルシウムの吸収を妨げます。また、骨量に関わる女性ホルモンの分泌も乱れます。早めに解消しましょう。


【7】骨づくりは「寝て待つ」

 寝不足で肌が荒れるのは、皮膚の新陳代謝が就寝中に行われるからです。骨代謝にも就寝後2時間に分泌される成長ホルモンが関わっています。寝不足は骨代謝や昼間の活動を低下させる《骨の大敵》です。


【8】食べないダイエットはダメ

 減量は無理な食事制限ではなく、適度な運動と生活改善で行うことです。適正体重の維持は健康のために重要ですが、食べないダイエットを繰り返せば、骨量も減少します。尚、現在アミノ酸系のダイエット食品や、サプリメントが注目されていますが、飲むだけではなかなか効果は出ません。栄養摂取と同時に適度な運動を行わなければ効果がみられないのでご注意下さい。


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骨太計画は毎日の食生活から
 毎日の食生活でカルシウム不足が続くと、体は骨を削ってカルシウムを補充しようとします。骨が削られすぎてカルシウムが血管に沈着していくと、動脈硬化を引き起こすことにもなり兼ねません。

 近年、日本人のカルシウム不足が問題となり、その理由として乳製品をあまり摂らない、水道水にミネラルが少ない、小魚や海藻類の摂取量減少などが考えられています。

 カルシウムの必要所要量は600mgですが、骨の老化が進む中高年や妊婦、授乳期では800〜1000mgが必要です。また、カルシウムの吸収率は牛乳や乳製品で約半分、小魚・海藻類で約3割、野菜類なら2割弱とさまざまです。多種類の食品からカルシウムを摂取し、乳製品が苦手な方は健康食品やサプリメントなども成就に利用することも必要になってきます。

 加えて、骨の形成に必要になるマグネシウムやビタミンK、カルシウムの吸収を高めるビタミンDや乳糖、キシロオリゴ糖などを含む食品を摂取すると効果的となります。

 骨を丈夫にする食生活とともに、適度な運動を心がけ、骨太で豊かな人生を送りましょう。


### カルシウムを200mg摂取するための食品 ###

【乳製品】牛乳1本(200g)・チーズ約30g・ヨーグルト160ml

【小魚類】めざし2〜3本・しらす約30g・にぼし約10g

【豆腐類】豆腐2/3丁・納豆(50g入り)約4個・がんもどき約1枚(70g)

【野菜類】ゆでた小松菜100g・ブロッコリー70g

【ゴマ】大さじ1杯(17g)

【海藻類】干しひじき15g・干しえび10g


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