*--気付いてからでは遅い《沈黙の臓器》--*


あなたの肝臓は大丈夫ですか?  (2005/08/14 update)
肝臓の仕組みと構造について  (2005/08/15 update)
生活習慣病が招く《脂肪肝》  (2005/08/16 update)
肝臓に良い食生活で健康に!  (2005/08/17 update)
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あなたの肝臓は大丈夫ですか?
 《沈黙の臓器》と呼ばれる臓器は、機能が低下しても自覚症状がほとんどありません。暴飲暴食を避けることは勿論、規則正しい生活と栄養バランスの良い食事を心がけ、肝臓の負担を軽くしてあげることが必要です。


■ あなたの肝臓は大丈夫?

 体がだるい、疲れがとれない、近頃急に、お酒が弱くなったなどと感じる場合は、肝臓がダメージを受けているかもしれません。暴飲暴食や睡眠不足になりがちな年末年始。人体最大の臓器・肝臓でさえも、酷使続ければ悲鳴を上げてしまいます。

 《肝心要》という言葉のとおり、肝臓は心臓と同様に大切な臓器です。肝機能が低下すると全身の倦怠感だけでなく、代謝も衰えて、肌の調子も悪くなるでしょう。

 肝臓は予備能力に優れた臓器で、約3000億個と肝細胞が非常に多いため、少しばかり傷ついても自覚症状は現われません、また70〜80%を切断した場所でも、数ヶ月でほぼ先に戻るほど再生能力に優れています。

 肝臓が《沈黙の臓器》と呼ばれるのは、その予備能力と再生能力により、気付いたときにはかなり症状が進んでいることが多いためです。健康を保つには、普段から肝臓をいたわり、SOSのサインを見逃さないことが大切です。次のチェックリストで、あなたの肝臓の健康度を確認してみましょう。


### 肝臓の健康度チェック ###

・だるい、疲れやすい。

・食欲がない、吐き気がする。

・熱が出る。

・右の脇腹が重苦しい。

・急に酒量が落ちる

・月経異常がある。

・皮膚が痒くなる。

・尿が番茶色になる

・便が白っぽくなる。

・黄疸が出る。


(*複数項目にチェックがついたら要注意。肝臓をいたわる生活を心がけましょう)


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肝臓の仕組みと構造について
 肝臓の仕組みの特徴は、心臓からの血液が流れ込む「肝動脈」の他に、消化管で吸収された栄養たっぷりの血液を運び込む「門脈」が通っている事です。

 肝動脈と門脈はしだいに枝分かれして「肝小葉」と呼ばれる六角柱の形をした構造に入り、合流して毛細血管網になります。この肝小葉の中心には中心静脈があり、これが1本の肝静脈となり肝臓を出ていきます(参考資料:「徹底図解 肝臓病 / 与芝真監修」法研)。


■ 肝臓を流れる血液量

 肝臓に注ぎ込まれる血液量毎分1.5L。1日あたり2160Lの血液量が肝臓に注ぎ込まれます。2Lのペットボトルにして1080本分に相当します。代謝や解毒をいって似になる肝臓の働きをよく物語っているといえるでしょう。


■ 肝臓の重要な3つの働き

 《肝心要》の肝臓には、特に重要な3つの働きがあります。

 第1は、活動に必要なエネルギーをつくる「発電所」としての機能です。飲食などから栄養摂取された糖質は胃や腸で糖に分解されたものが吸収され、肝臓でグリコーゲンとして蓄えられます。蓄えられたグリコーゲンは、必要に応じて糖に再分解され、エネルギー源として各器官に運ばれます。また、余分な大量のエネルギーは、忠誠脂肪として肝臓に保存されます。肝臓に十分な栄養素の貯蓄がない場合、パワー不足になりますが、必要以上の貯蓄を行えば肝臓の機能を低下させます。

 第2の機能は、細胞の材料となる栄養をつくる「製造工場」としての機能で。食事などで摂取したタンパク質・脂質・糖質・ビタミンなどの栄養素は、肝臓で体に必要な形となって蓄えられたり、全身に送り出されたりしています。肝臓に異常があると、各細胞に栄養が届かず、老化が進み、体や肌の元気もなくなります。

 第3の役割は、体にとって有害な物質を分解したり、体内の老廃物を処理したりする「ゴミ処理場」の機能です。その一つがアルコールやその分解過程で出来るアセトアルデヒドを解毒する作用です。肝機能が衰えると、体内に有害物質が溜まり、体にさまざまな悪影響が起こります。

 肝臓は他にも、消化吸収を促進させる胆汁をつくり、ホルモン量や血液の流れを調節するなど、さまざまな働きをしています。


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生活習慣病が招く《脂肪肝》
 肝機能の低下が続き、やがては肝臓病に至る原因には、主にウイルス性、薬剤性、アルコール性、代謝障害性、自己免疫性、先天性、過栄養生(肥満による)などがあります。日本における深刻な肝臓病の大半はウイルス性によるものですが、ウイルスが関係しない肝臓病の中で、生活習慣病による代表的な症状が、肝臓に脂肪がついた「脂肪肝」です。

 健康な肝臓でも3〜5%の脂肪がついていますが、脂肪肝と診断される頃には肝細胞の30%以上が脂肪になった状態になっています。脂肪肝は、主に、食べすぎ飲みすぎ、肥満、糖尿病などが原因で起こります。

 ほとんど自覚症状がないまま、肝臓に脂肪がついて肝機能が低下していくのが脂肪肝です。最近、脂肪肝の一部は「肝硬変」まで進むことがわかりました。肝硬変は、肝細胞の破壊と再生が繰り返されるうちに線維が増え、肝細胞が減って肝臓が小さくなったもので、多くの肝臓病の末期状態であることをさします。ここまで症状が進んでも、最初は日常生活には何ら支障が出る症状が現われないのが肝臓病の恐いところです。

 脂肪肝では、血液中にも中性脂肪やコレステロールが増えている場合が多く(高脂血症)、高血圧や動脈硬化の原因となり、やがては心臓病や脳卒中を引き起こすことになりかねません。

 脂肪肝になっているかどうかは、超音波(エコー)検査や血液検査で診断されます。定期的な健康診断を必ず受け、肥満気味の方は特に、日常生活を見直して、肝臓への負担をできるだけ減らすことが大切です。


### 脂肪肝は血液検査でわかる ###

 「脂肪肝」かどうかは血液検査でわかります。

【GOT】・・・・・・・・・・(5〜35U/l)
【GPT】・・・・・・・・・・(6〜37U/l)
【γ‐GPT】・・・・・・・・(40U/l 以下)
【コリンエステラーゼ】・・(350〜750U/l)
【中性脂肪】・・・・・・・(50〜149mg/dl 以下)

 上記の項目の数値が上昇してしまった場合、血中にも中性脂肪などがたっぷりたまり、他の内臓にも脂肪が溜まっている状態になっていることをさします。このような状態である場合から、さらに悪化してしまえば、高血圧や動脈硬化になるだけに止まらず、心臓病や脳卒中を引き起こすこともあります。


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肝臓に良い食生活で健康に!
 肝機能の低下は、食べすぎ飲みすぎだけが原因ではなく、疲労やストレス、寝不足、肥満、加齢などさまざまな要因で引き起こります。

 普段から十分な休養と適度な運動を心がけ、次に挙げる点に注意したバランスの良い、食生活を実行し、肝機能の低下防止を心がけることが大切です。


■ 1日3食、規則正しく

 肝臓の機能は、1日3回の食事のリズムに合わせて働いています。だらだら間食をしたり、朝食抜きで前日の夕食から長時間の空腹が続くと、肝機能のリズムが崩れ、体調も崩すことになります。不規則な食事は、やがては肝臓病を引き起こす原因になるので注意が必要です。


■ 栄養バランスを考えて

 傷ついた肝細胞を再生するにはタンパク質が必要です。肝臓の負担を減らすためには、肉・魚・卵・大豆・牛乳の中から、ささみ・豆腐など高タンパク・低カロリーの食品を選びましょう。また、肝臓はビタミン類の合成や貯蔵も行っているため、ビタミン類、特にビタミンEやビタミンA、代謝に関わるビタミンB群などの不足に注意しましょう。


■ アルコールは適量を守る

 アルコールは適量であれば、食欲増進やストレス解消に役立ち、血行促進や疲労回復の効果も期待できます。お酒を楽しむために大切なのは「ゆっくり、楽しく、適量を」の3原則を守ることです。肝臓のアルコール分解能力には個人差があるので、自分の適量を見極め、それを守るようにしましょう。また、少なくとも、1週間に2日程度はお酒を飲まない日(休肝日)をつくり、肝臓をゆっくり休ませましょう。


■ 脂肪を控え、和食中心に

 脂肪の過剰摂取は脂肪肝を招きます。和食は、ごはんが主食で、おかずに魚と野菜、海藻などが使われるため、良質なタンパク質とビタミン、植物繊維が豊富で低カロリーであるので、肝臓のためには理想的な食事と言えます。和食中心に献立を立てるようにしましょう。


■ 活性酸素から肝臓を守る

 大量の血液が流れている肝臓では、呼吸で得た酸素の30〜50%を消費を消費しています。そのため、炎症が起きている状態の肝臓の組織では、耐えず活性酸素が発生しています。多量の活性酸素を除去するには、多量の抗酸化成分が必要です。植物油に豊富なビタミンEや緑黄食野菜に多いビタミンAやビタミンCを積極的に摂取すると同時に、抗酸化作用が注目される、ゴマのセサミンや緑茶のカテキンなど、さまざまなポリフェノールなども摂取するとよいといわれています。

### 活性酸素に対抗する食品 ###

【抗酸化栄養素を含む食品】・・・ゴマ、緑茶、ブドウ
【ビタミンAを含む食品】・・・・レバー、にんじん、ほうれん草、うなぎ
【ビタミンCを含む食品】・・・・レモン、パセリ、ブロッコリー、みかん
【ビタミンEを含む食品】・・・・アーモンド、大豆油、ブロッコリー、青魚


■ 肝臓には「安静」も大切!

 日常的に、肝臓をいたわるには、簡単な方法の一つが「安静」です。肝臓は心臓と同様に、睡眠中も休まずに働き続け、体の必要に応じて糖質などのエネルギー源を全身に送り出しています。体を動かせばエネルギー消費が増え、それだけ肝臓の仕事も増加します。

 また、壊れた肝細胞の再生、修復を促すには肝臓そのものに十分な栄養を送ることが必要です。そのためには、肝臓の血流量を増やさなければなりません。横になって安静にしているときの血流量を100とした場合、立位では80〜70に、運動中は50〜20まで下がります。食事や舵、趣味、入浴などで疲れを感じたら、20〜30分横になるとよいでしょう。


 肝臓をはじめ内臓全体が良好な状態であるなら、一年中疲れ知らずに。また、新陳代謝も活発になるので肌も髪も若々しく保つことができます。健康で生き生きした毎日のためにも、肝臓を大切にする生活を心がけましょう。


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